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2017年9月25日 - 書評のコーナー ~その40~

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うーん。半分は米倉涼子主演DoctorXの宣伝の本でした。どうやら著者はDoctorXの制作協力をしている麻酔科の女医さんの様です。仕事の出来る麻酔科医アピールは半端ではないです。徹頭徹尾お金の話で、題名に偽りなし。そして仕事のできない9時5時の女医さんには滅法厳しい意見が出てきます。みんな思っているけど口に出せないことを堂々と書いています。医者の世界であるあるの連続です。

月の時間外労働が100時間超えた程度で世間ではやれブラックだ過労だと騒いでいる中、医者の世界では36時間連続労働が堂々とまかり通っております。交代制の夜勤などというものはなく、朝から外来や手術をしてそのまま当直に突入。一睡もできぬままに翌日の外来や手術に向かいます。かなり不健康です。しかしながら、医者というものはある種職人でありまして、これぐらいしないと技術と知識が身につかないのです。とてもとても昼間の仕事だけでは一人前にはならないのです。しかしその一方で、主婦だから子供がいるからという理由でこの激務を免除されている女医さんがいることも事実です。ただそれが悪いという訳ではないのです。問題は、命削って仕事している医者とその女医さんの基本給がほぼ同額ということなのです。では超過勤務手当はどっさり出るのか。そんなの出るわけないのです。

外科系や麻酔科は腕の差がはっきり出るので、ふつふつと不満が溜まってきます。一昔前であれば、大学医局の指示なので仕方なしにその業務を全うしてきたのですが最近はそうも行きません。政府による、大学医局制度の解体を狙った様々な政策が功を奏してすでに医局の強制力は激減し、医局に属しないフリーの医者も増えてきました。結果、地方の病院への派遣医師は確保できず医師偏在の地域格差が問題となってきました。これも当たり前の話でありまして、医局の強制力なしに辺境の地へ赴く医師などそうそういません。そして今、医局解体による弊害がとうとう都市部の病院にも出てきたのです。医局の強制力がなくなったため不公平な条件で病院に滅私奉公する理由が見当たらなくなり、腕のある医者が病院を辞めてフリーで働き始めたのです。

前置きが長くなりましたが、これが本書のバックボーンです。ここでは割とオブラートに包んで書いておりますが、本の中ではかなり毒舌で記載されております。この人、主婦には友達いないのかなと心配するほどです。あとは、医療ドラマを見るうえで知っておいたほうが楽しくみられる大学医局の裏側や、病院の内幕なども出てきます。もちろん、自分の自慢話も満載で、おなか一杯になってきます。

10月からDoctorXの続編が放送されるようなので、予備知識として読んでおけばなお一層ドラマが楽しくなるかもしれません。