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2019年3月7日 - 書評のコーナー ~その55~

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適度な厚さと、「直木賞受賞」の帯にひかれて読み始めました。舞台は1980年前後の台湾。国中で国民党がどうとか言っている、十分カオスな時代の台湾。

物語は、主人公の回想録のような形で、一人称目線での語り。青春小説というカテゴリーの書評家の意見でありますが、まあ青年時代のグダグダした葛藤を描いているだけ。

元優等生の主人公がひょんなことから零落し、地を這うようなレベルの高校に転校して、やくざと揉めたり身内が殺されたり。徴兵で軍隊に入っている間に恋人が離れてしまったり。その一方、悪友と遊びに行った帰りに山中で幽霊に遭ったりとどうでもいいことで紙面を埋められています。

確かに筆致は精緻で、台湾の雑然とした様子や熱気や汗や臭いも伝わってきます。ただそれだけで、その表現力は漫画未満です。わざわざ「20年に一度の逸材」と誉めそやすほどのものでもないかと思われます。まあ、50年に一度の豪雨が毎年来るので構わないのですが。直木賞なので、もう少しエンタメ寄りかと思っていましたが、純文学寄りでした。

食に例えると、パンチのない大盛りの焼きそばといったところでしょうか。

昔の台湾の熱気と狂乱を味わいたいという人には、この上ない1冊です。