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2019年5月7日 - 書評のコーナー ~その57~

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ゴールデンスランバー

 

本の題名は、ビートルズの曲の題名です。例によってあまり意味はありません。随所にビートルズに関しての蘊蓄を挟んできますが、本筋とはほぼ無関係です。

もちろん架空の話ですが、現職の首相が衆人環視の中で爆殺されます。当然犯人探しが始まるのですが、青柳なる青年が無実の罪を着せられます。どこからどうみても無実です。しかし警察は躍起になって青柳を逮捕しようと追跡してきます。それこそ手段は一切問わずです。ショットガンあり、盗聴あり、爆破あり。西部警察でもここまでしません。

どこまで読んでも主人公の青柳が逃げる話です。読んでいて疲れてきます。只管(ひたすら)逃げる話です。しかも、場所も時間もまちまちの話が交錯してきます。どうやってプロットを作ったのか、プロットだけを見てみたいくらいです。しかし疲れて寝てはいけません。この作者は伏線を張って後半に回収に回ります。一杯飲んで眠たくなって、翌日栞の前後を読んでみて、「あれ、ここ読んだっけ? ま、いっか」などという読み方では、楽しさ半減です。

半分くらい読んだところで、伏線回収が少しずつ始まります。もう一度、前半を斜め読みして伏線に備えましょう。

本書の解説で、「小説は広げた風呂敷をどう畳むかこれが難しい」と本人が述べていたようですが、まさにそれ。さて、そこまで畳んでくれるのか。

純文学のように端だけ畳んであとは読者に任せるのか、半沢直樹のように、きっちり畳んで始末してくれるのか、そこは読んでからのお楽しみという事で。

文庫本で、680ページあります。しかも途中で前半を読み返さないと最後の方で何やらモヤモヤします。余裕で800ページを読める人向けです。400ページの本でゼイゼイ言っている人は、少し苦労するかも。