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2021年2月12日 - 書評のコーナー ~その69~

51MSnnvzg7L._SX336_BO1,204,203,200_[1]サピエンス全史

ユヴァル・ノア・ハラリ著。イスラエルの社会学者です。4年ほど前に上梓された著作で、まあ難解です。ネアンデルタール人以前の人類から話は始まります。アフリカから広がった人類がアジア・オーストラリアに広がる経緯だけで100ページほど費やします。その後は、農業革命。産業革命ではありません、農業革命です。曰く、遊牧ではなく農業を始めたために定住しなければいけなくなった。好きな時に狩りをして植物採取していればよかったものが、農業を始めたために田畑の世話をしなければいけなくなった。収穫があると他の動物や他の種族からそれを死守しなければいけなくなった。とにかく、制約が増えてしまって農業革命以降は良くないことばかりであると。

通貨の誕生から流通、宗教の発生から布教。膨大な知識に裏打ちされた長文でお腹いっぱいになります。帝国による新大陸の開発でいくつもの文明が消滅し、固有の種族や動物たちも絶滅したと。まあヨーロッパ特にスペイン・英国の極悪非道なことには紙面を割いております。

高校の世界史教科書を深堀したような書籍かと思っていましたが、なかなかどうしてかなり食べ応えのある書籍でした。ジャンルとしては、教養書。人類の進化と歴史を生物学的な視点から俯瞰して再構成したような書物です。一回読んだだけでは消化不良です。もちろん、読破するためには社会経済学・宗教・考古学などそれなりの基礎教養が必要です。ベルベル人なんでマニアックな言葉も出てきます。新書ではもの足らずさらなる高みを目指す、テレビのクイズ番組「東大王」を余裕で半分答えられる人向けです。

東京のビジネスパーソンが、知的マウンティングのために使う本かなと思いました。