トップページ >> 新着情報一覧 >> 新着情報詳細(書評のコーナー ~その74~)

  • 当クリニックで行われている治療の説明をご案内いたします。

  • 当クリニックで行われている内視鏡のご案内です。

  • 当クリニック院長から皆様へ挨拶です。

  • 当院で出来る検査をご紹介いたします。

新着情報 詳細

2021年11月12日 - 書評のコーナー ~その74~

アルルカンと道化師

ご存知半沢直樹シリーズの最新刊です。設定は、あの有名な西大阪スチール案件を扱う前の時期、浅野支店長が東京中央銀行西大阪支店に赴任して間もないころです。

例によって、銀行の論理で半沢の担当する融資案件が頓挫します。今回の会社は仙波工藝社という中小の出版社です。赤字と黒字のギリギリのところを漂っていて、いかにも銀行の匙加減でどうにでもなるような業績です。そこへ怪しげなM&Aの話が降ってきます。業績を伸ばしたい支店長の浅野はM&Aを勧め、会社を守りたい半沢は追加融資で凌ごうとします。そこへ、主人公にはピンチを与えろと言う小説の鉄則に則り、くそ忙しい半沢にややこしい指令が下ります。定石通りです。今ならZoomで済ませるような会議でも新幹線で東京に呼びつけられます。当然ながら、銀行上層部は横で繋がっています。半沢のチームは下っ端ばかりでほぼ役に立ちません。詳しく書くと興ざめなので、サッカーで例えると、自陣サイドからのクロスボールが期待できないので、役員や部長の鉄壁のディフェンスを渡真利や取引先からの短い縦パスで突破するような展開です。

本作には、いままでの登場人物も続々登場します。浅野支店長はじめ、小木曽や渡真利。ドラゴン桜でヒールの色が濃くなった及川光博ですが、本作の渡真利は半沢の同期です。安心してください。そもそもドラゴン桜以前の作品ですので色の変えようがありません。全体に、皆さんご存知の役回りをそれぞれがこなして、成敗される人は成敗され、半沢が倍返しを行うという内容です。

場面設定の描写はそこそこに会話で読み進め、ところどころに筆者の銀行業界に対する苦言が挟まれます。ザクザク伏線回収をするタイプではないので、入念な拾い読みや読み返しは必要ありません。流れに乗って、少々厚めですが3時間程度で読破できます。

アルルカン