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2023年3月13日 - 書評のコーナー ~その82~

城崎裁判

年末、久々に城崎に行ってきました。城崎に行く目的は、温泉やらカニやらはもちろんのこと、しかし本命は「城崎裁判」でした。志賀直哉の小説「城崎にて」をオマージュして万城目学氏が書いた短編小説です。志賀直哉来湯100年を機に城崎温泉旅館経営研究会が立ち上げたレーベルで一般の書店では入手不可能。城崎温泉でした購入できないという品なのです。アマゾンや楽天でも入手困難というか、不可能でした。

風呂の中でも読めるようにストーンペーパーという濡れても破れない素材で出来ており、凝ったことにはブックカバーはタオル地です。32ページで1700円。結構なお値段です。

内容的には「城崎にて」を読んでいないと今一つ話に興が乗りません。ざっくりしたあらすじは、アイデアに詰まった作家が城崎温泉を訪れて、どういうわけか志賀直哉が死なせてしまったイモリからの意趣返しを受けるというよくわからない内容ですが、あらすじ的にはこれだけです。が、万城目学の小説だけあって、ちゃんと風景は浮かびますし、描写は秀逸です。所々に城崎のエピソードをちりばめて、最後はきちんと収まります。

是非、城崎で読んでください。外湯をもう一周したくなります。

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