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2018年3月12日 - 書評のコーナー ~その46~

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たまたま手元にあったので読み返してみましたが、やはり上手に書かれていました。流石、「このミステリーがすごい大賞」。舞台が病院という特殊な場所で、登場人物も色々な専門職でそれなりに肩書がついておりますが、事件の概要を冒頭に示して、登場人物を並べて事情聴取という形で各人物の病院での立ち位置や性格を説明してゆく。うまい構成です。名前の付け方も、ヒーロー役は桐生、泥臭い役回りは田口公平と覚えやすいです。既にTVにもなったり映画化もされているので内容についても少し説明。
拡張型心筋症(心臓が大きくなって収縮できなくなる病気)に対する手術であるバチスタ手術。心筋をチョキチョキ切り取って残りを縫い合わせるといった手術なので当然ながら成功率はやや低め。そんな手術をバンバン成功させていた、桐生率いる心臓外科チームがあるときから手術死(明らかな手技の失敗ではない)が頻発します。当然病院長は気になります。普通はリスクマネジメント委員会の出番なのですが、ことを大きくしたくない病院長は神経内科で愚痴外来を開いている田口公平にバチスタ手術の手術死の原因究明をするように指示します。内科医がそんなの判るわけがないのですが、不承不承引き受けた田口公平はスタッフの聞き取り調査から始めます。前半は殆どこの聞き取り調査と田口のグダグダ話で占められます。そして、中盤から新たなキャラが登場します。そしてこのキャラがまた濃い。厚生労働省の役人で、田口公平から調査を引き継ぐことになるのですが、全く人の心を忖度しないで物事を進めます。人の厭なところ突いて怒らせて情報を得るタイプなので、登場人物が早口になってきます。田口公平のペースで読んでいると面喰います。急にスピード感が出て途中から読む速度も加速してゆきます。そしてその勢いで最後まで読み切らせる体に仕上がっております。この辺上手に作りこまれておりますが、とにかく各々のキャラが立っているので、後半読みやすいです。テレビ化やら続編やら、これだけ良いキャラ作ったら色々したくなるのもわかります。
本格ミステリーで大事とされる、How done it(どの様にしたか)や、Why done it (動機は?)に関しては若干お粗末でしたが、キャラが立って楽しく読めたので良しとします。
密室ものやトリックものではない、ミステリー風小説(宝島社はこれが多い)のお手本みたいな小説です。