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2014年9月15日 - 書評のコーナー ~その16~

またまた半沢直樹シリーズです。

週刊ダイヤモンド誌に連載されていた小説が漸く単行本化しました。期待大で読み始めました。

61rMXR1OUUL[1]大体にして始まりは、半沢直樹が無理難題を押し付けられたことから事件が始まります。そして立ちはだかる派閥の壁と隠蔽工作を、正論を駆使して喝破して解決してゆくという水戸黄門並みに予定調和というか勧善懲悪のストーリーで読者はハラハラしながらも安心して読めるというのがウリであります。

さて、本作品は業績不振の帝国航空(JALでしょう)の経営改善に半沢直樹が抜擢される所から話が始まります。これも審査部からの案件引き継ぎという形で始まるのですが、当然ながら審査部にも隠したい事柄が沢山あり素直に引き継ぎは行われません。

そこに政権交代によって新しい国交大臣(蓮舫あたりを当て嵌めます)が誕生して、スタンドプレーとして国交大臣主導で帝国航空の再建を図ろうとします。その際にお決まりの銀行の債権放棄が揉め事のネックとなり、利権絡みの過去の融資が発覚してそれはそれは半沢直樹っぽく展開してゆきます。

しかしながらです。今回は中野渡頭取も話に絡んできます。良い方か悪い方かは書きません。帯に「史上最大の倍返し」とありますが、報復の程度としては倍返し程度です。やや物足りません。それよりも中野渡頭取の苦悩を描き切ったなと思ったのは私だけでしょうか。基本的にはサラリーマンのファンタジー小説のスタンスの中で、一方経営者の責任というものを考えさせられる稀有な1冊でした。長編好きとしては、目の付け所は良いのでできればもう少し利権を複雑にして上下巻に厚みを持たせてほしかったのですが、出版側としてはこのくらいのvolumeでなければ発行部数は伸びないのでしょう。惜しい。