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2015年8月17日 - 書評のコーナー ~その25~

このコーナーばかりが伸びてゆきます。

最早、書店のブログ?

bookfan_bk-4101281114[2]昔々に読んだことのある小説を読み返してみました。さて、どうなることやら。

不思議な小説でした。25年ほど前の作品です。舞台は中国。恰も史実の様に書いてはいるものの、全くのフィクション。第1回ファンタジーノベル大賞ですから、勿論フィクションです。設定は、全くの出鱈目です。しかし、それなりに時代考証されているのかなと錯覚するくらい上手に書かれています。この国の史実は「素乾書」「素乾通鑑」にも記されているが、これらは公文書的なもので後の権力者による編纂であり、云々。こうまことしやかに書かれていると、三国志を読んだことのある人はこのあたりでフィクションであることを忘れてしまいます。さらに、もっともらしい作者の意見や脚注がナレーションの様に加えられるところもノンフィクションっぽさの演出の一つなのでしょう。

内容は、年端もゆかない田舎の娘が宦官に拾われて後宮(江戸時代でいう所の大奥)に放り込まれて房中術を習って后の座を競うという、とんでもない内容であります。普通に書くと、ただのエロ小説になってしまい勝ちなのですが、描写がとにかく軽い。脂っこい登場人物が少なく、主人公が小娘で、そして教えているのが枯れ果てた老人という設定も軽みの一つの原因かと思います。アニメ化されている様なのですが(この内容をアニメ化は如何なものかとも思いますが)、まさにアニメの原作を読んでいるかのように情景が目に浮かびます。描写が軽くて上手なのでしょう。

房中術を学者の老人に教わりながら良いペースでストーリーは進むのですが、ある日突然、よく解らない理由で賊が宮殿に攻め込んできます。何やら唐突な展開だなぁと思っていたら、これまたよく解らない理由で賊が勝ってしまいます。あと数ページしかないのにどうやって纏めるのだろうと思っていたら、なんかよく解らない間に皆片付いてめでたくエンディング。なんじゃこりゃ。

25年前に読んだときは面白いと思って読んでいたはずなのですが。何でしょう。この肩透かし感は。

居酒屋にビールを飲みに来て、泡だけのビールを出された感じです。