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2017年11月19日 - 書評のコーナー ~その42~

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成功者K

 

ピース又吉と同時受賞した芥川賞作家はご存知ですか?羽田圭介という少し変わった作家さんです。又吉のテレビ露出がひと段落ついてから、もう一人の芥川賞作家としてバラエティーの雛壇に文化人枠として屡々(しばしば)出演しておりました。当時から、出演料の話などテレビ業界ではタブーとされてきた題材をあけっぴろげに開陳するキャラクターは、その作品は読んでいないまでも少し変わった作家さんだなと思っておりました。

とある日曜日の朝、新聞の書評欄を見ていると「成功者K」の紹介がありました。なんでも、芥川賞を取ってテレビに出るようになってから、女性にもててもてて仕方がない。複数の女性と付き合うようになり云々という内容とのこと。芥川賞作家の書く暴露本ってどんなだろう。格調高い暴露本なのかな。もてる男の話には興味はないがテレビ作成の裏側でも書かれていたら面白そうだなと思い、本屋へGo。しかし、なんだこの表紙は?ひょっとして馬鹿馬鹿しいお話?恐る恐る読み始めました。

結果、まあ下らない小説でありました。内容は兎も角書き方は上手いので簡単に読み進められます。しかしながら、話の内容が下世話にもほどがある。主人公は、成功者K。フィクションなのかノンフィクションなのか判りません。テレビに出始めて有名になって、言い寄る女性に片っ端からアプローチしては、これが悉く(ことごとく)上手くいって男女の仲になる。これを延々と執拗に書いているのです。実体験をもとにしたテレビ業界の裏側も書かれておりこれは楽しく読めるのですが、数ページ読み進めるとまた女性を口説いてはホテルでの描写に終始する。延々とこの繰り返しで、うんざりしてきます。テレビでのドッキリ企画や密着取材などの話も盛り込まれていますが、これらは最終的にはどうでもよい扱いになって行きます。そして最後の3-4ページがまたもう一つ意味の解らない話になっております。

ネットで検索すると、絶賛の評価を得ていたりもしますが、読んでいてこれほどげんなりする小説もまた珍しいです。本の帯に又吉氏の寄稿があり、テレビ業界の怖さを再確認したという内容の文言がありましたが、これくらいしか褒めるところはありません。

成功者Kではなく、性交者Kにタイトル変えたらどうでしょうというと強くお勧めします。

グイグイ読ませる変態小説が好みの人にはお勧めですが、真っ当な人が読んだら最初の50ページで放り投げてしまうでしょう。私的には、悪趣味な表紙のデザインも含めて書架には置いておきたくないので、週末にはBook OFF行きの本です。